「供血犬」という言葉を聞いたことはありますか?ワンちゃんが輸血を必要とする際、人間と違い、血液バンクが存在しません。病気の時や手術の時には、他のワンちゃんから血液を抜いて輸血しています。その際、輸血を手伝ってくれるワンちゃんのことを「供血犬」と呼びます。当サイトではドナー登録に協力してくれるステキなワンちゃんのことを「ドナードッグ」と呼んでいます。
現在は飼い主様が自力で、協力してくれるワンちゃんを探さなければならない状況です。
動物病院で供血犬を飼っているところや病院が率先して探してくれるところもありますが、まだまだ少ないです。SNS等で情報を拡散しても、条件に当てはまるワンちゃんが見つかる確率はごくわずか、個人で探すのは困難です。
輸血が必要なのに供血犬が見つからず、泣く泣く命を諦めないといけない…人間と同じように、ワンちゃん用のドナーがあれば、輸血が必要な子が現れた時に迅速な対応が出来、かけがえのない命を救うことができるのではないか…
諦めることしかできない現状を改善できればという想いで、ドナードッグバンクでは、ドナー登録してくれる優しい飼い主様・ワンちゃんを募集しています。
- 名前 ナナちゃん
- 年齢 12歳
- 犬種 ミニチュアダックスフント
手術に伴い輸血が必要になりました。ちょうど通っていた病院が、ドナードッグバンクと縁のある病院だったので、すぐに2匹のワンちゃんを紹介して頂きました。そのうち1匹のワンちゃんと血液が合うことが判明しました。あの時に輸血できたから今の元気なナナがいます。協力してくれたワンちゃんと飼い主さんにはとても感謝しています。
犬の血液型は何種類ありますか?
犬の血液型はDEA式という分類方法になります。全部で10種類以上あるとされています。概ね8種類の赤血球抗原に対して、それぞれ陽性か陰性かで分類します。
血液型が一致したとしても、相性が合わないと輸血できないこともあると聞いたのですが…
DEA1.1という抗原を持っているかどうか、ということが一番重要になります。DEA1.1陰性(=DEA1.1抗原を持っていない)の犬に、DEA1.1陽性(=DEA1.1抗原を持っている)の犬の血液を輸血することはできません。初回の輸血であれば問題が起こらないことも多いのですが、2回目以降の輸血時には重篤な反応が出て命に関わりますので、通常は避けます。逆の場合(DEA1.1陽性の犬にDEA1.1陰性の犬の血液を輸血)は問題ありません。また、輸血前はDEA1.1が陽性か陰性かの確認で問題がなかったとしても、交差適合試験(クロスマッチ)を行い、さらに安全性を確認してから輸血を行います。
採血された血液は長期間保存しておけるのですか?
長期保存はきかないものとなっており、基本的には採血したらすぐに輸血するのが現状です。
1回の採血で何匹救えるのですか?
1回の採血で1匹のみです。
1回採血してから、次に採血するまで何日くらい期間を置く必要がありますか?
3ヶ月は間をあけた方がいいでしょう。最低でも3週間~4週間は期間を置く必要があります。
採血の際、麻酔をしなければなりませんか?
ドナードッグバンクに登録できるのは、麻酔なく採血できるワンちゃんに限ります。
採血したあとはすぐに家に帰れますか?
特に問題がなければ採血後、帰宅できます。
自宅近くの病院で検査を受けることはできますか?
基本的には患者様の待つ病院に足を運んでいただくこととなります。
副作用などはあるのでしょうか?
採血することにより一時的に貧血になったり、潜在的にあった心臓疾患が表出してくる場合があります。
輸血が必要な犬の病気とはどのようなものですか?
免疫介在性溶血性貧血、血小板減少症、播種性血管内凝固(DIC)です。
どのくらいの数の犬たちが困っているのですか?
ひとつの病院で月に1頭以上のペースで必要とされています。地域に置き換えると、大阪市では177件の病院があり、月1頭のワンちゃんが協力を必要としているとして、177頭にも上ります。輸血の協力を待っているワンちゃんはとても多いのです。
ドナードッグバンクに登録のある動物病院から、輸血が必要なワンちゃんがいるので協力してほしいという連絡が来ます。
協力が必要な病院付近でドナー登録している飼い主様へ、協力依頼のご連絡を致します。
日程等が合いましたら協力してくれるワンちゃんと共に、患者様が待つ病院に向かって頂きます。病院に着きましたら、患者様の血液と合うかのクロスマッチをして、合えば採血をさせて頂きます。基本的に鎮静剤等を使わなくても大丈夫なワンちゃんにご協力頂けたらと思います。
私が初めて「供血犬」という言葉を知ったのは、大型犬を2匹飼っている私に、輸血できるワンちゃんを探しているので協力してくれないか、と知人から依頼を受けた時でした。
少し調べただけで輸血を必要としているワンちゃんが沢山いること、飼い主自身が協力者を探さないといけない現状や、病院で飼われているドナードッグへの負担等が浮き彫りになっていました。
輸血が間に合わず命を落としたケースが決して少なくないことも目の当たりにしました。
できる範囲での協力はしてきましたが、私だけの力では救うことができない子達をなんとか助けてあげたい!という想いから、ドナードッグバンクを立ち上げることとしました。
一人でも多くの方に関心をもってもらい登録者数が増えたら、本当に、救える命が沢山あります。小さな命をあなたの協力で救えます。少しの思いやりと優しさで、みんなで共生できる社会を目指していきたいです。
- 一般社団法人 エルのしっぽ